フカボリ
激甚化・頻発化する水災害に備える――静岡県が進める「流域治水」と、私たちにできること
2026年4月30日
気候変動の影響などにより、近年は大雨がこれまで以上に激しく、短時間に降るケースが増えており、全国各地で毎年のように甚大な水災害が発生しています。河川から水があふれなくても私たちの身の回りで浸水は発生しており、水災害は、どこでも起こり得る身近なリスクです。
こうした状況を受け、治水対策の考え方も変化しています。河川企画課では、県内の河川整備の計画づくりを担っており、新しい治水の考え方である「流域治水」の推進に取り組んでいます。この記事では、流域治水の基本と、河川企画課の取り組み、そして県民一人一人ができる備えを紹介します。
1. 流域治水とは
流域治水とは、河川管理者だけで水災害を防ぐのではなく、「流域」全体、川の周辺の山地、街、田畑など、雨が降ってから川へ集まるまでのエリア全体で、あらゆる関係者が連携して水災害対策を進める考え方です。
具体的には、河川管理者に加え、下水道管理者、市町、企業、学校、地域団体、そして県民の皆さま一人一人も含めて、役割分担しながら備えることを目指します。
これまでの水災害対策は、ダムや堤防、河道掘削(川の断面を広げる工事)など、いわゆるハード対策が中心でした。もちろん、これらは今も重要な柱です。しかし、近年は、想定を上回る雨の降り方や、都市化による雨水の流出増などにより、内水氾濫(下水道や側溝などで排水しきれず、市街地に水がたまる現象)など、河川における対策だけでは防げない水災害が増えています。
そのため、川の整備だけではなく、流域全体で①氾濫をできるだけ防ぐ・減らすための対策、②被害対象を減少させるための対策、③被害の軽減、早期復旧の・復興のための対策を組み合わせた総合的な対策である、「流域治水」の必要性が高まっています。

2. 河川企画課の取り組み
河川企画課は河川管理者の立場で、河川の将来像を見据えた計画づくりと水災害に対する防災・減災対策の強化に取り組んでいます。具体的には、河川整備の基本的な方向性を示す計画等に基づき、中長期の視点で治水対策を推進しています。
令和8年度からは「流域治水対策班」を設置し、関係機関と連携した取り組みを強化していきます。

流域治水の関係者ごとの取り組み例
・河川管理者(県など)
ダムや遊水地、堤防の整備、河道掘削、水位情報や河川監視カメラ映像の発信など
・農地・農業関係(農林部局、土地改良区など)
水田(農地)の保全、雨水の貯留
・学校・公共施設・民間施設
敷地内に雨水を一時的にためる貯留施設の整備や、浸水を前提とした施設の運用(止水板の活用、備蓄など)
・市町
ハザードマップの周知、避難情報の発信、地域防災力の向上策、居住地域の誘導
・下水道管理者
雨水幹線や排水施設の整備
流域治水では、関係者それぞれができることを持ち寄り、効果を重ねていきます。こうした取り組みに、住民の備えが合わさることで、地域全体の被害軽減につながります。
3. 一人一人ができる流域治水
流域治水は行政の取り組みだけでは完成しません。あらゆる関係者が協働して流域全体で行うこと、そして、一人一人が地域の水災害リスクを認識し、避難に必要な情報・判断・行動を把握することが、命と暮らしを守っていくことにつながります。
①ハザードマップで「自宅周辺のリスク」を知る
まず確認したいのが、自治体が公表しているハザードマップです。自宅や職場、学校の周辺が、洪水や土砂災害などのリスクがある地域かどうか、避難所や避難経路はどこかを、平時に把握しておきましょう。
②サイポスレーダーで「いま」を把握する
県では、Web上で雨量・水位などの情報を確認できるサイポスレーダーを提供しています(スマートフォン・パソコンから閲覧可能)。
サイポスレーダーURL:https://sipos.pref.shizuoka.jp/
サイポスレーダーでは、県内の雨量計・水位計の観測情報が表示され、河川の水位が上昇している状況や、危険度の目安(河川氾濫の警戒レベル等)を、グラフなどで確認できます。また、河川カメラによって、現地の様子も把握できます。


もう一つ、ぜひ活用していただきたいのが、気象庁が公表している「キキクル(危険度分布)」です。大雨による災害(浸水害、洪水、土砂災害など)の危険度が地図上で色分けして表示されており、周辺地域の状況を把握するのに役立ちます。これらのリアルタイムの情報と、ハザードマップで把握した「自宅周辺の危険箇所」を併せて確認することで、適切な避難行動につなげられます。
③家庭でできる「小さなダム」雨水貯留タンク
家庭でもできる取り組みの一つが、災害時の備えにも役立つ雨水貯留タンクの設置です。雨どいから雨水を一時的にためることで、短時間に大量の雨が下水道や河川へ流れ込むのを抑える効果が期待できます。
市町によっては設置補助を行っている場合もあるため、関心のある方はお住まいの自治体情報を確認してみてください。
④側溝清掃――小さくみえて、浸水被害を減らす
身近で効果が期待できるのが、側溝や集水ますの清掃です。落ち葉や泥が詰まると排水が妨げられ、局所的な道路冠水や住宅の浸水につながることがあります。
地域や家庭でできる範囲の清掃・点検を行い、危険箇所に気づいたら自治会や市町へ相談することも大切です。
4. しぞ~か防災かるた(豪雨の備え編)
静岡を愛する多くの人が関わって結成された、しぞ~か防災かるた委員会と静岡県の連携により、「しぞ~か防災かるた 豪雨の備え編」が作られました。 絵札には親しみやすいイラストが描かれており、読み札の上の句には県の水辺の魅力、下の句には水災害に関する防災の心得が書かれています。
また、読み札の裏面には地域の話題や水災害の知識に加え、災害時に取るべき行動などが掲載されており、子どもから大人まで、遊びながら自然に防災を身につけられる工夫がされています。


「しぞ~か防災かるた 豪雨の備え編」は、地域団体や学校への貸し出しを行っています。ご興味のある方は、下記よりお問い合わせください。
「しぞ~か防災かるた 豪雨の備え編」広報チラシと問合せ先(交通基盤部河川砂防局土木防災課)
URL:https://www.pref.shizuoka.jp/machizukuri/kasensabo/1049418/1070626/1073305.html
5. 最後に:水害対策を「自分ごと」に
水災害対策は、行政だけでできるものではありません。県民一人一人が水災害リスクを「自分ごと」として捉え、平時から備え、危険が迫ったときに的確に行動できることが、地域全体の防災力向上につながります。
まずは家族でハザードマップを確認するなど、すぐにできることから始めてみましょう。
―――問い合わせ――――――――――――――――――――――――――
県広報戦略課 TEL:054(221)2231 MAIL:pr@pref.shizuoka.lg.jp
