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貨幣の日本史から考える、現代に生きる私たちのお金との向き合い方 ― 歴史上の偉人の選択に学ぶ金融リテラシー ―

2026年3月31日

 

こんにちは、学生特派員の髙塚です。
皆さんは、普段からお金について深く考えたことがあるでしょうか。
特に私と同じ若い世代にとって、「金融」という言葉はどこか難しく、自分とは距離の
あるものに感じられるかもしれません。
しかし、お金は私たちの日常生活と切り離せない存在です。
本記事では、金融・経済講演会「貨幣の日本史」の内容を通して、歴史上の偉人や貨幣の歩みを手がかりに、金融を「自分の生活と地続きのもの」として捉える視点を紹介したいです。

目次
1.貨幣の日本史から見える社会の変化
2.金融・経済講演会「貨幣の日本史」について
3.偉人たちの選択に学ぶ「お金との向き合い方」
4.結びに-歴史を学ぶことがお金の理解につながる意義

1.貨幣の日本史から見える社会の変化

日本における貨幣の誕生と広がり

日本で本格的に貨幣が鋳造されたのは、奈良時代が始まる頃の和同開珎にさかのぼります。それ以前にも富本銭などが存在しましたが、貨幣は当初、必ずしも広く普及していたわけではありませんでした。やがて中世から近世へと時代が移ると、商業の発展とともに貨幣経済が広がっていきます。江戸時代には金・銀・銭の三貨制度が整えられました。貨幣は単なる交換手段ではなく、社会を支える基盤へと変化していったのです。

貨幣が人々の暮らしや価値観に与えた影響

貨幣の普及は、「信用」という概念が機能するようになります。お金があれば、顔見知りでなくとも取引が可能になります。つまり貨幣は、人間関係の枠を越えて経済活動を広げる装置となりました。
また、貨幣経済の発展は商人の台頭を促し、身分制度の中にあっても経済力を持つ者が社会的影響力を持つようになるなど、従来の価値観にも変化を与えました。「家柄」や「身分」だけでなく、「経済力」が一つの力となっていったのです。

▲貨幣(大正時代)
As6673,10sen-T9 CC BY-SA 3.0
▲貨幣(現代の貨幣)
Misogi,Japanese coin CC BY-SA 3.0

時代ごとのお金の役割の変化

時代によって、お金の役割も大きく変わってきました。
お金は常に社会の中心にありながら、その意味や役割は固定されたものではありません。時代の変化とともに、その使われ方や価値付けは変化してきました。
講演を通して印象的だったのは、貨幣の歴史が単なる経済史ではなく、「社会の変化そのもの」を映し出しているという点です。お金のあり方を知ることは、その時代の人々が何を大切にしていたのかを知ることにもつながるのです。

2.金融・経済講演会「貨幣の日本史」について

本講演会は、安心かつ豊かな生活を送るために必要な金融リテラシーの向上を目的に、静岡県金融広報委員会の主催で開催されました。

講演テーマは、「偉人から学ぶお金の賢い付き合い方」です。取り上げられたのは、豊臣秀吉や渋沢栄一といった歴史上の人物たちです。彼らがどのようにお金を使い、どのような目的のために経済政策を行ったのか。その選択を通して、「お金は何のためにあるのか」という問いが投げかけられました。
ここでいう“お金との賢い付き合い方”とは、単にお金を増やす技術ではありません。お金を社会の中でどう生かすか、誰のために使うのかという姿勢そのものを指しています。
歴史上の人物の決断は、遠い過去の出来事でありながら、現代を生きる私たちにも通じる示唆を与えてくれます。

講師・河合敦氏の紹介

▲講師の河合敦氏

講師を務めたのは、歴史作家の河合敦氏です。多数の歴史書を執筆され、テレビ番組への出演や、時代劇の時代考証も手がけるなど、幅広い分野で活躍されています。
専門的な内容をわかりやすく語る軽快な話しぶりが印象的で、会場は終始、歴史の物語に引き込まれていました。

3.偉人たちの選択に学ぶ「お金との向き合い方」

第3章からは、講演会の中で特に印象に残った部分を紹介します。

講演で紹介された印象的な偉人のエピソード

私が最も印象に残った人物は、渋沢栄一です。「日本資本主義の父」と称され、現在の一万円札の肖像にもなっている渋沢は、日本の近代経済の基盤を築いた人物として知られています。国立銀行条例の起草や第一国立銀行の設立に関わったほか、東京市養育院の院長として福祉事業にも尽力しました。
講演の中で印象的だったのは、次の言葉です。
「できるだけ多くの人に、できるだけ多くの幸福を与えるように行動するのが、我々の義務である」
彼は「国利民福」という理念のもと、利益を社会へ還元することを重視しました。お金は個人の利益のためだけではなく、社会全体の幸福を生み出すための手段であるという考え方は、現代にも通じる重要な視点です。

偉人たちが大切にしていたお金の考え方

このほか豊臣秀吉や、田沼意次、松平定信等のエピソードも講演会で聞くことができました。それぞれ方向性は異なっていても、彼らはいずれも「お金が社会を動かす力を持つ」ことを理解していた点で共通しています。
講演を通して感じたのは、お金を「目的」とするのか、「手段」として用いるのかが大きな分かれ道になるということです。社会全体を見据えた使い方をした人物は後世に評価され、短期的利益に偏った場合には批判を受けることもありました。歴史は、お金との向き合い方についての普遍的な問いを私たちに投げかけています。

講師・河合氏から読者へのメッセージ

日本の貨幣制度の変遷や歴史上の人物のお金の使い方についてお話ししました。
私がみなさんに講演を通じて考えてほしかったことは、二つあります。
一つは、お金が信用で成り立っているという事実です。
古代の貨幣は信用を失って廃れましたが、平安末期に再び流通するようになります。平清盛が宋から銭を大量に輸入したからです。宋は大国です。人間関係に信頼が必要なように、お金にも信用は不可欠で、大国の信用がお金に価値を与えたわけです。それは、いまの「円」も同様なのです。
二つ目は、どうお金を貯めるかではなく、貯めたお金をどう使うかです。大金を貯めても、あの世には持っていけません。ならば生きているうちに使い切るべきですし、若いうちにしかできないことは身銭を切っても経験すべきです。私は還暦を過ぎましたが、金銭的な余裕はあっても、海外留学を実行に移す体力や気力はありません。使うべきタイミングにお金を使わないと、一生後悔することになります。計画的に惜しみなく、自分のためにお金を使いましょう。
ただ、他人のためや国の発展に金銭を投じる行為も、実は大きな幸福をその人にもたらすことも渋沢栄一から学んでほしいと思いました。
ぜひ、この講演会がお金について、改めて考える機会になればうれしいです。

4.結びに-歴史を学ぶことがお金の理解につながる意義

歴史を学ぶことは、お金の本質を理解することにつながります。私たちは日常的にお金を使い、受け取っていますが、その背景や意味について考える機会は多くありません。
特に若い世代にとって、お金は身近でありながら深く考える機会の少ない存在です。しかし歴史を通して見ることで、お金が社会や人々の価値観とどのように結びついてきたのかを理解することができます。
今回の講演を通じて、歴史からしか得られない視点があることを実感しました。お金とは単なる数字ではなく、人々の生き方や社会のあり方を映し出す存在なのです。

この記事を読んだ後にできるアクション

本記事をきっかけに、まずは自分のお金の使い方を振り返り、「何のためにお金を使っているのか」を改めて考えてみてほしいです。日々の買い物や貯金、将来への備えといった身近な行動も、見方を変えれば自分なりの価値観の表れです。
また、少しでも歴史に興味を持った人は、歴史上の人物がどのようにお金や経済と向き合ってきたのかを調べてみるのも一つの方法です。時代背景や社会状況の中で下された選択を知ることで、現代の私たちのお金との関係を客観的に見つめ直すヒントが得られるでしょう。
さらに、講演で語られたように、お金は単なる「貯めるもの」や「使うもの」ではなく、人や社会を動かす力を持つ存在でもあります。だからこそ、自分にとって本当に大切なことは何かを考えながらお金と向き合う姿勢が求められています。
歴史を学ぶことは、過去を知るだけでなく、これからの生き方を考える手がかりにもなります。本記事が、読者一人一人がお金とのより良い関係を築くきっかけとなれば幸いです。


もっと詳しく知りたい方はこちら

J-FLEC(金融経済教育推進機構)

静岡県金融広報委員会HP

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