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脱炭素に貢献する「磁力で加熱する次世代ヒーター『MAGHEAT』」が知事賞受賞で大反響

2022年8月1日

化石燃料を使用しない磁石燃料での加熱を行い、CO2削減の期待ができる装置「MAGHEAT(マグヒート)」のビジネスプランで静岡県知事賞を受賞された株式会社TSKの窪野茂さん。

MAGHEAT製品化のいきさつや、静岡県SDGsビジネスアワードへ参加した感想について静岡県広聴広報課職員がお伺いしました。

株式会社TSKの専務取締役 窪野 茂 氏

MAGHEATに取り組んだきっかけはなんですか?

取り組みをはじめたのは2017年ぐらいからでした。
あるとき、「磁石を金属の近くで動かすと電気が流せる、そして電気が流れると金属内で抵抗があるから温まるよ」という話を聞きました。
そこから装置化していって、これは何かに使えるかもしれないと考え、やり始めちゃったら止まらなくなってしまったのがきっかけです。
その話をしてくれたのが、もう他界してしまったのですが、たまたま当社に最初に来てくれた技術部長で、磁石にすごく詳しい人でした。前にいた楽器メーカーではスピーカーを取り扱っていまして、スピーカーには磁石をたくさん使っていますので、その経験から磁石がいいものだってよく話してくれました。磁力というのはほとんど無くならないのでこのエネルギーをうまく使うといいことできるよと言っていました。

MAGHEATを思いついた段階から製品として形にしようとするとお金や手間がかかると思いますが、そこを踏み切った理由はあるんですか?

そこはもう社長の判断でしたね。
MAGHEAT以外にもメーカーさんからのニーズを元に装置を作ったりと、エンジニアリング的なこともやっているんですけど、MAGHEATは元々、需要があって取り組んだ訳ではないんです。ですので、作り始めてからも、成熟させるのにも、時間がかかっているのですが、お金に変えていくことが難しかったんです。
今までの実績だと電力会社さんが購入してくれまして、そのほかには地元の企業さんが何社か検討してくれているんですが、なかなか購入は決まらなくて、そこが悩みどころでもあります。

MAGHEATが環境課題解決につながるという思いはいつから生まれましたか?

作っているときに、火を使わなくても熱を使えるんだということが分かってきました。
当時から“脱炭素”について言われていたので、火を使わなくてもいいということは環境対策にも有効なのかもしれないと感じました。

MAGHEATを紹介する窪野さん

静岡県SDGsビジネスアワードへの応募のきっかけを教えてください。

袋井商工会議所の方に「こういうビジネスアワードがあるけど挑戦してみないか」という話をいただいたことがきっかけです。
それまでもいろんな地元のコンテストに応募して評価をいただいていたのですが、コンテストに出るたびに、当社の課題や成長のために必要な視点を知ることができますし、最終的に利益が得られるビジネスプランを考える機会になり、すごくいい刺激を毎回受けていました。
県という規模・単位でビジネスアワードに応募するのは初めてのチャレンジだったので、とても興味を持って参加させてもらいました。

専門家の支援で印象的だったことを教えてください。

私たちはどうしてもMAGHEATの技術的なメリットを中心に伝えようとしてしまうのですが、結局これは何に使えるのか、何の助けになるのかというユーザー視点・社会視点が抜け落ちているという指摘をいただいたことです。いくら作ったものがすごくても、ユーザーはどうやって活用すればいいのかわからない。だから、なかなかMAGHEATが普及しないのではないかということに気づかされました。

知事賞を受賞して周りからの反響はありましたか?

地元の企業や商社からの問合せがかなり増えました。
一般的にアルミを溶かす工程ではガス燃料が使われていますが、現行の方式から新しいMAGHEATを使った方式にいきなり変えるのはハードルも高く、簡単にすぐに置き換えられるようなものでもないです。しかし、最近はSDGsの機運も高まり、カーボンニュートラル関連の補助予算を活用する企業も増えているので問合せが増えたのだと思います。

ビジネスアワードでの受賞によって今後どのような効果や影響が出ると嬉しいですか?

どんなことでも良い影響があるとありがたいというのはあります。特に僕らの場合は助けてくれる人が増えるとありがたいです。
小さい会社なので新たなものを作り続けていくのはお金も大変ですので、そういう支援に手を挙げてくれる方が出てきてくれたらいいですね。今、直面している課題として、例えばこの袋井のメロン農家で温室の熱源にお湯を利用していますが、このお湯を温めるために重油を使っていることについて、それをMAGHEATに置き換えられるかという話をもらっています。ただ当社には対流熱(※)を計算できる人がいなくて、その熱計算が正確にできなくて困っています。
他にも理工科大学の先生と袋井市とで一緒にやりませんかという話も出てるんですが、このようなときに他にもつながりやすい”つて”などが増えるといいです。
今回、県とのつながりができましたので、ここからさらに公立大学や研究機関だったり、県からならではのつながりが広がると嬉しいです。

※対流熱……水を加熱することで発生した冷たい部分と温かい部分の温度差により熱の対流(流れ)が発生すること。

静岡県SDGsビジネスアワード2021参加者の皆さま

TSK株式会社のご紹介

静岡県袋井市にある会社で、元々は商社として輸出入を手がけていました。現在はそれに加えて、お客さんからの依頼に合わせた装置の開発やオリジナルでの製品の開発を手がけています。過去には工場内で利用する自動液補充装置などの導入を行っています。脱炭素をテーマに令和3年度静岡県SDGsビジネスアワードへ参加され、化石燃料を使用しない磁石燃料での加熱を行う装置「MAGHEAT(マグヒート)」のビジネスプランで静岡県知事賞を受賞されました。
MAGHEATは脱炭素時代に必要不可欠な加熱装置として、現在注目を集めています。

※MAGHEAT(マグヒート)とは……永久磁石を束ねた円盤を回転させて、アルミ合金などの非鉄金属を加熱させる新しいタイプのヒーター。強い磁場を非鉄金属にあたえることで、誘導電流が流れジュール熱(電流を流すことによって発生する熱エネルギー)が発生して加熱される。動力源にモーターを採用しており、消費電力を抑えることが可能。

株式会社TSKの皆さま

環境ビジネスを応援する「静岡県SDGsビジネスアワード」とは

静岡県は令和3年度より新たに環境課題解決に資するビジネスプランのコンテストを実施しており、令和3年度は応募総数45件から5団体を採択し、経営者等の専門家の支援を受け、3ヶ月間ビジネスプランのブラッシュアップに取り組みました。
その後、採択団体がその成果発表を行い、5団体の中から最も優れたビジネスプランに対して、静岡県知事賞を授与しました。なお、本アワードはビジネスブレイクスルー大学経営学部グローバル経営学科、学科長・教授の谷中修吾氏(静岡県湖西市出身)が総合プロデューサーを務めています。

総合プロデューサー 谷中 修吾 氏
静岡県SDGsビジネスアワード2021運営メンバー

〈県からのお知らせ〉

こちらもあわせてご覧ください!

○令和4年度も静岡県SDGsビジネスアワードを開催します
 8月1日より募集を開始しています。企業の皆さまの応募をお待ちしております。
 ⇒https://www.pref.shizuoka.jp/kikaku/ki-110b/202207/color2/index.html


○県民だより7月号では、脱炭素社会の取り組みとビジネスアワードを紹介しました!
 県民だより7月号「みんなで協力!脱炭素社会 企業の省エネ・脱炭素化を支援します」 
 ⇒https://www.pref.shizuoka.jp/kikaku/ki-110b/202207/color2/index.html

問い合わせ

県広聴広報課
☎ 054(221)2231 
FAX 054(221)4032

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