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静岡茶を世界に誇るブランドへ。いよいよ始まったJAPAN TEA SHIZUOKA【前編】

約8分で読めます

日本一の茶どころとして知られてきた静岡。 しかし今、その静岡茶は大きな転換点に立っている。国内では茶の消費が減少し、生産を取り巻く環境も厳しさを増す。一方、海外に目を向ければ、抹茶をはじめとする日本茶への関心は高まっている。長い歴史の中で培われてきた静岡茶の価値を、今の時代にどう捉え直し、世界へ伝えていくのか。その問いから始まったのが、「静岡茶ブランディングプロジェクト」だ。 総合プロデューサーを務めるのは、クリエイティブディレクターの佐藤(さとう)可士和(かしわ)氏。生産者、茶商、行政など、静岡茶に関わる人々との対話を重ね、2026年4月、新たなブランド名として「JAPAN TEA SHIZUOKA」を発表した。前編では、静岡茶を取り巻く現在地と、ブランド誕生までの歩みをたどる。

佐藤可士和氏、静岡茶ブランディングプロジェクトを語る
動画を見る(佐藤可士和氏インタビュー/3分32秒)

▼過去の関連記事
静岡の茶業が一丸で挑む「静岡茶ブランディングプロジェクト」(2025年12月25日公開)
https://fmc.pref.shizuoka.jp/fujinokuni/article/article-249/

茶どころ・静岡が向き合ってきた現実

静岡県は、長い歴史と高い品質で知られる、日本を代表する茶どころだ。県内には、それぞれの風土や歴史に育まれた多様な茶産地があり、生産から加工、流通まで、茶に関わる技術や文化が蓄積されている。しかし現在、茶業を取り巻く環境は厳しい局面にある。茶価の低迷や担い手の減少など、生産現場が直面する課題は多い。

一方、海外では抹茶を中心に日本茶の人気が高まり、2025年の輸出額は721億円と、過去最高だった前年から大きく伸びた。海外で日本茶の新たな価値が見いだされている状況のもとで、静岡茶が持つ本質的な価値を改めて見つめ直し、国内外に広く発信していくことが重要になっている。

茶業振興計画、3本目の柱が始動

県は「静岡県茶業振興計画」(2025~2028年)を策定し、

  1. 茶業の構造改革による生産力の強化
  2. 輸出拡大と供給力の強化
  3. 静岡茶ブランドの構築と文化の継承

を3本の柱に据えた。
一方、静岡茶の価値をひと言で表す象徴がなく、県内22の茶産地もそれぞれに個性を持つため、静岡茶全体としての魅力を十分に発信できていないという課題がある。
そこで、3本目の柱である「静岡茶ブランドの構築と文化の継承」を具体化する取り組みとして、2025年7月に「静岡茶ブランディングプロジェクト」を始動した。
「プレミアム・グローバルブランディング」を目標に、静岡茶の本質的な価値を高め、世界での認知を広げていく。

▼静岡県茶業振興計画
https://www.pref.shizuoka.jp/sangyoshigoto/nogyo/1040633/1027277.html

生産・流通・行政が同じテーブルに

これまで静岡茶のPRは、県や市町、茶商、生産者が個別に行うことが多く、一体性のある動きに欠けていた。しかし今回はその反省の元、プロジェクトの推進には県茶業会議所をはじめJAや茶商の組合の幹部が参画し、生産・流通・行政が同じテーブルに着いた。
このほかに、公募で集まった約160人のメンバーには、茶業関係者だけでなく、観光業、
医療関係者、金融業、経営コンサルティング業など異業種の人たちも加わっている。
ブランドの「価値」を共通認識として、立場や分野を越えて意見を交わしながら、それぞれの業界の特徴や強みを尊重し、静岡茶が持つ価値や、世界に向けてどのように伝えていくかをともに考えた。

プロジェクトの推進体制(推進委員会・統括委員会・プロジェクトメンバー)

総合プロデューサー・佐藤可士和氏が語る、静岡茶の価値

プロジェクトの総合プロデューサーを務めるのは、今治タオルをはじめ、地域の産業にブランディングの新たな輝きをもたらしてきた佐藤可士和氏だ。佐藤氏は就任後「ふじのくに茶の都ミュージアム」で茶の歴史をたどり、認識を深めた上で、生産者や茶商、海外の有識者に話を聞くため、何度も県内の茶産地や流通の現場に足を運び、本質を探ってきた。静岡茶と向き合い続けてきた佐藤氏に、プロジェクトへの思いを聞いた。

佐藤 可士和(さとう かしわ)氏プロフィール
数々のメガブランドのブランドコミュニケーション戦略の構築やCI(コーポレート アイデンティティ)の開発、デザインを手がけ、国内外で広く知られるクリエイティブディレクター。SAMURAI代表。

動画を見る(佐藤可士和氏インタビュー/3分32秒)

Q.総合プロデューサーを引き受けた理由は?

「日本の優れた文化を世界に紹介したいと、かねがね考えてきました。日本茶は、まさに素晴らしいコンテンツです。また、母が静岡県出身で、子どもの頃から静岡茶に親しんできたこともあり、ぜひお手伝いをしたいと思いました」

Q.ヒアリングを重ねて見えてきた、静岡茶の可能性と課題は?

「ポテンシャルはすごくあります。多様性があって奥深く、世界に伝えることがたくさんあるんです。一方で、国内では日本茶があまりにも身近すぎて、価値を見出しにくい。身近なものほど、外側から見たほうが本質的な価値が分かるものです」

Q.プロジェクトを進める中で、難しさを感じたことは?

「静岡の方々にヒアリングをすればするほど、生産者や茶商の方々から、静岡茶は多様であるがために『一つにはまとめられない』と何度も言われました。ブランディングは何らかの形でまとめないと成り立たないので、かなり悩みました。でも話を聞いていくうちに、この多様性こそが一番重要なのだと分かりました。困難だと思っていた課題こそが、実は一番伝えるべき価値でした」

Q.このプロジェクトで「共創」を大切にしている理由は?

「文化は、一つの業種でつくるものではありません。生産者や茶商はもちろん、カフェを営む人、僕のように外側から静岡茶を応援する人もいる。いろいろなものが混じり合って初めて文化になっていく。だから、お茶全体を盛り上げていくためには、共創がとても大事なんです」

「JAPAN TEA SHIZUOKA」、誕生

こうした対話を経て、2026年4月14日、新しいブランドネーム「JAPAN TEA SHIZUOKA」が発表された。ロゴマーク、ブランドの定義、今後のアクションプランも披露した。発表後には、共感の声や「使ってみたい」という相談も寄せられている。県では、ブランドの認知拡大に向け、ロゴマークを広く活用してもらうための準備を進めている。

「ブランドネームやロゴは、ここから多くの方々にどんどん使っていただきたいですね。一人一人が世界に向けて発信することで、初めて広まっていくのです」と佐藤氏は呼びかける。12月公開予定の後編では、ブランドネームとロゴマークに込められたこだわりや思いと、世界に向けて動き出したアクションプランを紹介する。

ブランド発表会の様子(2026年4月14日)

関連サイト

▼JAPAN TEA SHIZUOKA 公式サイト
https://japan-tea-shizuoka.com/

▼静岡茶ブランディングプロジェクト|静岡県公式ホームページ
https://www.pref.shizuoka.jp/sangyoshigoto/nogyo/1040633/1068068/index.html

▼静岡県茶業振興計画
https://www.pref.shizuoka.jp/sangyoshigoto/nogyo/1040633/1027277.html

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